全国の住戸数が世帯数を十数%も上回る状況で、少子高齢化がさらに進む。五〇〇万戸、一四〇〇万人が生活するマンションを社会的な資産として後世にどう受け継いでいくか。ここを乗り越えるには建設業界の利害を反映した「局地戦」ではなく、全体を貫く戦略、世紀を超えて針路を示す羅針盤が求められる。誰が政権の座につこうと、私たちの住生活は中断されることなく、続いていく。誤解を怖れずに言えば、大きなストックに対して「開発から管理へ」の転換が必要だと払は思う。
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少子高齢化か進むなかでスクラップ&ビルド一辺倒では立ち行かなくなった。建築政策直しの維新が成るかどうかは、「開発から管理へ」の一点にかかっている。高度成長のシンボルである多摩ニュータウンの「諏訪二丁目団地」では、「建て替え決議」が成立した。日本住宅公団が開発し、一九七一年に入居が始まった諏訪二丁目団地は二十年ちかく建て替え問題で揺れた。三月末、区分所有者の九一%の賛成で建て替え決議は可決された。五階建て二二棟・六四〇戸の団地は、住棟を七つに集約し、高層化で七〇〇戸に増やされる予定だ。団地住民は「建替え円滑化法」の枠組みで「建替え組合」を結成して再建に挑む。新住棟には保育所や診療所、カフェも入るという。合意形成の困難さに思いを馳せれば、住民の選択が「吉」と出ることを願わずにはいられない。住民の四分の一が七〇歳を超えている現状を考えれば、権利変換、二年以上の仮住まい、再入居と、いくつもの峠が待ちうけているだろう。住戸数を増やせる諏訪二丁目団地は、建て替えを選択できた。だが過去の実績データを見れば、住戸数が一・五倍以上に増やせないケースでは建て替えは難しい。大多数の既存マンションは建て替え不能。集合住宅を「終の棲家」にするには住民の意識改革と適切な情報提供が不可欠だ。