高温多湿の夏向きに開放的だった日本の住宅は、いまや開放とは正反対の密閉工法になっています。そこからいろいろな問題が生じているのですが、抜本的な対策を講じていないのが実態です。たとえば基礎も、一部に換気口を確保した以外は密閉してしまいましたが、この換気口が床下の換気に役立っていないのです。先にご説明したように、現在の日本の住宅は壁の中に空洞があり、この空洞によって家の中の空気は床下から小屋裏までがひと続きになっています。壁空洞によって、家の中にたくさんの煙突ができたようなものですから、そこに風がはいってくると、縦方向に空気の移動が起こるのです。ですから、床下にはいってきた湿気た空気は、床下を通り抜けてすぐ外へ出てくれず、壁空洞へはいり込んで家中の壁の中を巡るようになってしまいました。壁に空洞ができたために、床下の湿気を除去する目的で造られたはずの床下換気口が、家中に湿気を運ぶ働きをするようになってしまったわけです。また、強風が吹くと、床下が風洞の役割を果たして、屋根裏の暑い空気を引っ張ったり、逆に床下の冷たい空気を上に向かって吹き上げてしまったりということが起こるようにもなりました。短絡的な説明で誤解が生じることを恐れずに申し上げれば、床下換気口があることで、かえって家を腐らせてしまうのです。この問題は、床下換気口の形状を工夫したり、防湿コンクリートを打ったりすることでは解決できません。床下の空気が壁内空洞をめぐる構造に対して、何ら対策がされていないからです。昔の住宅は、床下に防湿コンクリートなどがなくても長持ちしていますが、それは、現在の住宅とは異なる「開放的な家造り」という論理体系で建てられているからです。開放を前提とした昔の住宅の造り方の延長では、現在の住宅の短命化を解決することはできません。高温多湿の風土で住宅の耐久性を上げるためは、昔のように徹底的に開放的につくるか、徹底的に密閉して気密を上げるかの二者択一が必要な段階まできているのです。
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