昭和30年代前半、家庭電化製品を中心とした耐久消費財が急速に普及し、なかでも庶民にとって、電気洗濯機、電気冷職庫、そして白黒テレビが「三種の神器」と呼ばれ、高根の花と憧れをかきたてました。その後急速に各家庭に普及し、私たちの暮らしを大きく変えたことは、改めて言うまでもありません。「三種の神器」は、主婦の家事軽減に大きな役割を果たしましたが、娯楽性が高く、一方通行のメディアであるテレビは、家族団欒風景や、家族関係までも大きく変貌させました。それまで団欒の中心には父親がいて、座る場所も、一家の長にふさわしい定位置が決まっていましたが、父親に代わって1番いい場所にテレビが置かれた結果、家族のコミュニケーション密度は薄くなり、団欒の場である茶の間が「テレビの間」になってしまうまで、時間はかかりませんでした。しかしそれでも、一家に1台しかテレビがなかった時代、同じ番組を家族で見て、娯楽の王・テレビの楽しさを共有しているうちは、まだ良かったのです。昭和50年代から、基礎的ニーズが充たされた消費者は、より個性化・多様化した消費を求めるようになったからです。今では死語になった「チャンネル争い」という言葉も、ある種の家族コミュニケーションを現していたのかもしれません。
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